エンターティメントにおけるせつないウイルス。
 さて昨今の不況、金がなくなれば遊ぶ金もださなくなるものであります。それでも心にとって必要なエンター成分。明日への活力になくてはならないものであります。20世紀末の最後に超メガヒットを飛ばした宇多田ヒカル。彼女の歌がなぜに大ヒットしたか?歌がうまい、曲がいい、声がいい・・・・いろいろ要因があると思いますが第一の要因はそのせつなさにあると私は分析しております。
 彼女のヴィヴラートはそれまでの日本の歌手にはなかったものであり天性の才能を私たちに感じさせてくれました。ちりめん寸前の細かいヴィヴラートにガラス細工のようにはかなくデリケートな心の機微というものをせつなく与えてくれました。ツボにはまる!というかどんぴしゃに日本の歌謡史の引導を引いたようです。
 過去坂本九の上を向いて歩こうの世界的な大ヒツトも彼の歌のヴィヴラートに情緒豊かなせつなさが世界の人々の箏線にふれました。飛行機事故で亡くなり世界に報道された数少ない日本人でしょう。スティビーワンダーがその後の日本公演で「彼は我々に言葉はわからなくとも特別な感情を与えてくれた。」と語りハーモニカでスキヤキを演奏したのでした。
 せつなさとは人々の生活になくてはならないビタミンであります。もうひとり日本の大天才(故)武満徹。氏が世界で認められた要素はまぎれもなくせつない成分の豊かな音響を構築したからに外ならないと私は思ってます。前衛を自認し激しい精神のはざまに潜む暖かい光り。私にとってかけがえのない音楽のビタミンであります。せつないウイルスはどんどん繁殖してほしいものです。